ページトップに戻る

脂肪注入で病気を治療! その適応と治療ポイント

乳がん術後の乳房再建と脂肪注入

脂肪の活用と言えば、やはり豊胸手術や顔の若返り施術など、美容外科のイメージを強く持たれている方が多いと思います。しかし、脂肪の研究が急速に進む近年、いわゆる“病気”の治療として用いられることが増えていることはご存知でしょうか?
代表的な例としては、過去にコラムでもご紹介した乳がん摘出後の乳房再建に活用するケースがあげられます。脂肪を専門とするTHE CLINICでは、乳がん治療の主治医の方から患者様の紹介を受けることも。最近だと、通常の豊胸手術よりもシリコンバッグの形が不自然に際立ちやすい乳房再建後のリタッチとして、脂肪をシリコンバッグの周囲に注入して形を整えるという治療を行いました。

脂肪の質と注入技術の向上で実現した「漏斗胸」の治療

脂肪の質と注入技術の向上で実現した「漏斗胸」の治療

脂肪注入が有効な病気の中でもTHE CLINICで最も多く治療を手掛けるのが、漏斗胸(ろうときょう)です。胸骨の中央が陥没し、胸が窪んで見えるこの病気。心肺機能に支障が出るほどの重度のものは骨格的な治療が必要ですが、見た目の問題だけの軽度のものなら脂肪注入の出番です。この症例を数多く経験する大橋ドクターによると、ただ窪みを埋めるだけではなく、大胸筋内や大胸筋下への重点的な注入で“底上げ”することがポイント。
実は、脂肪注入による治療ができるようになったのは本当に最近になってから。数年前まではコンデンスリッチファット(CRF)のような良質な脂肪も、しこりにならない注入技術もありませんでした。そのためリスクが否めず、「以前はシリコンバッグで底上げをする治療法を勧めていた」と大橋ドクター。今は、脂肪で左右差も整えながら治療する方法がとても有効だと話します。

脂肪の保存で治療が気軽になった顔の難病「ロンバーグ病」

脂肪注入による病気の治療で漏斗胸の次に多いのが、顔の片側だけが萎縮しコケてしまう病、ロンバーグ病です。「顔という目立つ部位だけに、脂肪注入の満足度が非常に高い」と話すのは、実際に治療に当たった経験を持つ長野ドクター。ただし、この病気の治療には左右対称に整えるという高い技術力が必要です。そのため、治療を1回で完了させることは困難。通常2回、場合によっては3回ほどに分けて定着を見ながら脂肪を注入することがポイントだと言います。
このように複数回に分けて脂肪注入を行う場合、従来は2回目以降にも行う脂肪採取(脂肪吸引)が治療のハードルになっていましたが、FatBankという脂肪を劣化させず長期保存できるサービスによって、より気軽な治療が可能となりました。

傷跡が消える? ボリューム以外の脂肪の魅力

傷跡が消える? ボリューム以外の脂肪の魅力

治療に用いるとは言っても、ここ最近まではご紹介したケースのように“組織のボリュームを補う”という活用法が主でした。しかし近年では、火傷跡や傷跡を薄くするという効果も認められています。これは、脂肪組織に含まれる幹細胞や組織再生に働く細胞群(SVF)の成せる業。実際の症例を見てもかなりの効果が確認できます。
さらに、まだ研究段階ではありますが、これらの成分の働きからアトピーなどの免疫疾患の治療法としても注目され始めている脂肪。薬剤の知識に明るい福田ドクターも「漫然とステロイドを用いるしかない疾患に対して、ブレイクスルーになる可能性」と話しており、今後の研究の動向からも目が離せません。新しい情報をつかみ次第、コラムでもキャッチアップしていくのでお楽しみに!

コラムのポイント

  • 美容目的だけでなく、脂肪注入は病気の症状改善のためにも活用されている
  • 乳がん術後の乳房再建や漏斗胸、ロンバーグ病などは、脂肪でボリューム改善
  • 脂肪に含まれる成分は、傷跡や免疫不全の治療という面でも注目されている