脂肪注入豊胸のしこりを7年放置していますが乳がんになることはないですか？

脂肪のしこり自体は、放置してもがんになることはありません。しこり自体に害はありませんが、時間の経過とともに石灰化や炎症を起こすことがあります。

■豊胸と乳がんの関係

豊胸してしこりができたことで、しこりが乳がんになるのではないか…と不安に思う方は多くいらっしゃると思います。結論から言うと、脂肪注入によるしこりに関しては、悪化してがん化するということは医学的に考えにくいです。なぜなら、乳がんのしこりと脂肪注入豊胸によるしこりは、できるメカニズムも場所も違うためです。
乳がんの場合、しこりは細胞ががん化することで、乳腺組織（乳管や小葉など）から発生します。一方、脂肪注入豊胸はしこりができたとしても乳腺組織の外で、あくまで脂肪が固まってできたものなので、乳がんのしこりとは全くの別物なのです。

また、乳がん検査の際は、触診だけではなんのしこりか判断が難しいため、検査機器での診断が必要になります。脂肪注入豊胸をしている場合も、その旨を伝えれば（しこりの状態にもよりますが）検査は受けることができます。ただその際、マンモグラフィー検査だけでは区別がつきづらいこともあるので、超音波検査（エコー検査）との併用がおすすめです。検査をしてみないと乳がんのしこりか脂肪注入によるしこりかの判断はできないため、しこりを見つけた時点でまずは一度検査を受けるようにしましょう。

■脂肪注入豊胸後にできる「しこり」の正体は？

脂肪注入豊胸の後にできるしこりの正体は壊死した脂肪です。しこりができる原因は大きく分けて3つあります。1つ目は大量の脂肪をまとめて1ヶ所に注入すること、2つ目は注入する脂肪量が多すぎることです。バストの中で脂肪が塊となって、中心部の脂肪に酸素や栄養が行き届かなくなり、やがて壊死、周囲に被膜が形成されてしこりとなります。3つ目は注入した脂肪に不純物が含まれていることです。不純物は酸素や栄養の循環を妨げるため、周辺の脂肪は壊死しやすくなります。

■放置することで考えられるリスク

しこりは放置することでがん化することはありませんが、石灰化してしまうことがあります。
壊死した脂肪は被膜に包まれている状態です。その被膜の周りでは常に小さな炎症が起こっています。この炎症によって体液中に含まれるカルシウムが結晶となって被膜に沈着してしまい、柔らかかったしこりは石のような硬さに。これが石灰化です。しこりの大きさや状態、位置によっては、バストの見た目に影響が出るケースもあります。
また、しこりが石灰化している状態でマンモグラフィー検査を受けることは大変危険です。マンモグラフィーは胸を強く圧迫するため、検査でしこりが潰れてしまうことがあるのです。しこりが潰れると壊死した脂肪が周囲に漏れ、強い炎症を起こす可能性があります。

石灰化以外のリスクとしては、乳がんの早期発見を妨げる可能性も。エコー検査の際、しこりの影に隠れて乳がんを見逃してしまうことが考えられます。

このように、しこりができることで、様々な悪影響が起こります。脂肪注入豊胸後にしこりができたら放置せずに、まずは施術を受けたクリニックに相談しましょう。しこりは施術を受けたクリニックで除去してもらう以外に、他院修正を行うクリニックで除去することもできます。