【豊胸手術にがんの可能性】乳がんではないALCL

【豊胸手術にがんの可能性】乳がんではないALCL

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2011年から指摘され続けてきた、乳房インプラントとALCL(未分化大細胞型リンパ腫)の関連性。とうとう一部の乳房インプラントの使用を禁止する国も出てきました。乳房インプラントとALCLの関連性やALCLと乳がんの違い、そして乳房インプラント挿入によるトラブルについて解説します。

この記事の監修ドクター

大橋 昌敬
大橋 昌敬 医師
(THE CLINIC 総院長 / 日本美容外科学会専門医 / 日本美容外科学会会長

乳房インプラントに関連するがん「ALCL(未分化大細胞リンパ腫)」

豊胸手術の中でも歴史が長く、現在でも主流の豊胸術として知られるシリコンバッグ生理食塩水バッグを用いた乳房インプラント。しかし2017年3月、アメリカのFDA(食品医薬品局)によって、なんとも衝撃的な情報が公開されました。その内容は、乳房インプラントにがんの一種であるALCL(未分化大細胞リンパ腫)のリスクが確認されたというもの[1]。実は、このALCLと乳房インプラントとの関連が初めて疑われたのは2011年のことでした[2]。当時は症例データ数が少なかったため、FDAはその後データの収集を強化。2018年9月時点では、457件の症例を確認し、うち9件の死亡が報告されました[3]。2017年のデータと比較すると、死亡件数は増えていないものの、発生件数は約1年半で100件ほど増加しています(下記グラフ参照)。
さらに2019年4月には、フランスの医薬品・保健製品安全庁(ANSM)がテクスチャードタイプと、ポリウレタン製のバッグにALCLとの関連性が認められたと発表しました[4]。これを受け、該当する豊胸バッグの使用をフランス国内で禁止するという方針がメーカーに通達されています。
過去のコラム「トラブルによって進化したシリコンバッグの種類」でも触れたように、乳房インプラントはこれまで様々なトラブルを経て安全性が追及されてきました。現在は美容目的の他、乳がん治療後の乳房再建にも用いられ、数年前からは保険も適応されています。安全と思われていた乳房インプラントですが、豊胸手術後に発症したALCLとはどのようなものなのでしょうか。

乳房インプラントとがんの関係性

乳がんとの違いは?

ALCLと乳がんの違い

幅広く周知されているバストのがんと言えば、乳がん。一方、ALCL(未分化大細胞型リンパ腫)は、リンパ節や皮膚、骨、軟部組織、肺、肝臓などで発生する血液のがんのこと。乳腺で発生する乳がんとは異なります。そして、今回バストで見つかっているALCLは、乳房インプラントを挿入した方特有の場所で発見されているのです。それは、乳房インプラントなどの異物が体内に入ることで作られる、カプセル(被膜)内。バストに発症したALCLは、そこに溜まったリンパ細胞を伴う漿液(しょうえき)で見つかったことが分かっています。その結果、乳房インプラントを挿入するとALCLのリスクが高まるという結論に至ったのです。
ただ、被膜内にできるALCLは、乳腺にできる乳がんよりも進行が遅いケースがほとんど。早期発見すれば命に関わることはそう多くはないと言います。

危険性はがんだけではない! インプラント豊胸のトラブル

ALCL発生後はバストに腫れ痛みしこりなどの症状が現れることが分かっています。実は、他院での乳房インプラント(シリコンバッグ・生理食塩水バッグ)による豊胸後に、同じような症状を訴えて当クリニックを訪れる方が多数いらっしゃいます。その方たちのバストを診断した結果、ALCL(未分化大細胞リンパ腫)が確認されたケースはありませんが、豊胸手術後に違和感や不調を感じている場合、そのほとんどが重篤なトラブルを起こしています。
ALCL発症後と同じような自覚症状が現れる、いくつかのトラブルをご紹介しましょう。

乳房インプラントの破損

シリコンバッグ破損による炎症で腫れたバスト

炎症によるバストの痛み発赤腫れなどの異変が生じている場合、乳房インプラントが破損し、内容物が漏れ出していることが考えられます。
過去のコラム「豊胸インプラントの“その後”~リスクと安全は、エコーで追跡~」でも触れたように、FDAは「乳房インプラントの寿命は平均10年。11年以内には、少なくとも片方が破損する」との調査結果を公表しています。早ければそれよりも前に破損してしまうケースも少なくありません。

カプセル拘縮

強いカプセル拘縮で変形したバスト

バストが硬くなり、痛みを感じるケースでは、強いカプセル拘縮(被膜拘縮)の可能性があります。先でも触れたように、乳房インプラント挿入後、体はその周囲にカプセル(被膜)を形成します。これは異物から体を守ろうとする自然な反応ですが、この程度が強く出ると挿入された乳房インプラントが強く締め付けられ、胸が硬く変形してしまうのです。

石灰化

硬くなったバストから除去した石灰

そして、バストにしこりのような硬さを感じる場合は、石灰化が起きている事が考えられるでしょう。
石灰化とは、カプセル(被膜)の周りにカルシウムが沈着した状態のこと。長年乳房インプラントを挿入している方に起こりやすく、石灰化によって乳房インプラントの劣化が進み、破損に繋がることもあります。

定期的ながん検診を

今回の発表では、乳房インプラント(シリコンバッグ・生理食塩水バッグ)による豊胸手術からALCL(未分化大細胞リンパ腫)を発症するの数10万人に1人という、非常に低い可能性であるとされています。そのため、痛みや腫れなどの自覚症状があるケースを除き、すでに挿入されている方に早急な除去を進めているわけではありません。
しかし、美容目的でシリコンバッグや生理食塩水バッグによる豊胸手術を受けた方の中には、バレたくないという思いから手術後のがん検診を受けないケースも多く、がんの発見が遅れてしまうことも考えられます。これはALCL、乳がん共に言えること。そのため、THE CLINICのゲストの中には、検診への不安を理由に他院で挿入した乳房インプラントの除去を希望される方も少なくありません。
すでにインプラント豊胸をしている方は定期的な検診を、ご検討中の方は、これらのリスクを理解した上でドクターに相談することをおすすめします。

コラムのポイント

  • シリコンバッグや生理食塩水バッグにがんの一種、ALCLの危険性が
  • インプラント豊胸トラブルには、ALCLと似た自覚症状が現れることも
  • インプラント豊胸前はリスクの理解、豊胸後は定期的ながん検診が大切

<監修医師紹介>

大橋 昌敬

大橋 昌敬 (THE CLINIC 総院長 / 第112回日本美容外科学会会長)

■経歴
  1. 1990年
    久留米大学医学部 卒業
    久留米大学医学部 第二外科 外科学 入局
    (胸部外科学、救急医学、麻酔全般を習得/博士号取得)
  2. 1994年
    Toronto General Hospital(Canada)
  3. 2000年
    聖心美容外科 東京院副院長 就任
  4. 2003年
    聖心美容外科 福岡院院長 就任
  5. 2009年
    THE CLINIC 福岡院院長 就任
  6. 2012年
    THE CLINIC 東京院院長 就任
  7. 2015年
    THE CLINIC 技術指導医 就任
  8. 2017年
    THE CLINIC 統括指導医 就任
  9. 2022年
    THE CLINIC 総院長 就任
  10. 2023年
    第112回日本美容外科学会長就任
資格
  • 日本胸部外科学会認定医
  • 日本外科学会認定医
  • 日本美容外科学会専門医
  • VASER Lipo認定医
  • TOTAL DEFINER by Alfredo Hoyos 認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本胸部外科学会
  • 日本形成外科学会
  • 日本美容外科学会(JSAS)
  • 日本美容外科学会(JSAPS)
  • アメリカ形成外科学会(ASPS)

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