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胸が硬い…30年前に入れた豊胸シリコンバッグの衝撃症例から医師が警笛

シリコンバッグ豊胸はバストアップを叶える定番の方法ですが、過去に挿入したバッグを長期間放置していると、体内で思わぬトラブルが進行しているケースがあります。
バストの硬さや形にちょっとした違和感はあるものの、痛みや腫れなどの明確な異変がない場合、気にはなりつつも、そのままにしてしまう方もいるのではないでしょうか。ただ、そのシリコンバッグ豊胸の違和感を放置することは、危険かもしれません。
実際のケースを例に、実は体内で起きていた異変やリスク、そして今後の対策について、THE CLINIC 統括院長の志田ドクターが解説します。

豊胸から30年経った胸にゲストが感じた違和感 

今回ご紹介するのは、志田ドクターが担当した30年前にシリコンバッグ豊胸を受けた60代女性の症例です。胸に少し違和感があるというお悩みで来院されました。
強い痛みや赤み、激しい腫れなどの目立った症状はなく、なんとなく気になるという程度だったそうです。しかし、実際に診察をすると、バストの状態には異変が生じていました。
経年変化もありますが、大胸筋の下に無理にシリコンバッグを挿入していることで、胸がかなり外向きになっていることが分かります。

シリコンバッグが硬くなったバスト、その原因は?

今回のゲストは、右胸にはある程度の柔らかさが残っていた一方で、左胸はほとんど動かないほど極めて硬くなっている状態でした。
このようにシリコンバッグ豊胸後に胸が硬くなる原因の1つとして、カプセル(被膜)拘縮が挙げられます。体は異物であるシリコンバッグから身を守ろうとして、その周囲に膜を作ります。膜ができることは正常な反応ですが、被膜が厚くなりシリコンバッグを締め付けるように硬くなることがあるのです。

エコー検査でわかった炎症による石灰化

術前のエコー検査では、両胸ともシリコンバッグの破損はないように見えていました。しかし、実際には両胸とも被膜が石灰化しており、特に硬さを感じていた左胸はそれが顕著に生じていました。
石灰化とはシリコンバッグを包み込む被膜の周りにカルシウムの結晶が付着することで、石のように硬くなってしまう現象を指します。これは長期間にわたり、バッグ周囲で炎症が起き続けていた証拠でもあります。
なお、シリコンバッグを取り出すだけでは、術後にバストの削げ感が大きく出てしまう可能性があるため、今回はシリコンバッグの除去と同時に脂肪豊胸の施術も合わせて行うこととなりました。

抜去すると出てきたのは、破損したシリコンバッグ!

ゲストから生理食塩水バッグを入れたと伺っていたので、その想定で、2cmから2.5cm程度の非常に小さな傷口からバッグの摘出を試みました。しかし、実際に取り出されたのは、破損したシリコンバッグでした。
そもそも豊胸シリコンバッグの破損は、症例数としてはカプセル(被膜)拘縮と並ぶ代表的なトラブルです。それにもかかわらず気づかないまま経過しているケースも多く、今回のゲストのように、胸が硬い、変形している、といった別の症状をきっかけにバッグ除去を希望される方が少なくありません。
豊胸インプラントの中でも、破損すると中身が漏れ出して胸が急にしぼむ生理食塩水バッグなら、気づく人も多いでしょう。
ただ、近年主流のシリコンタイプの豊胸インプラントは破損しても中身の粘性が強いため、生理食塩水バッグのようには流れ出ません。エコー検査をして初めて豊胸シリコンバッグの破損が発覚、というケースも多いのです。
では、なぜ今回は術前のエコー検査でこの破損が見つからなかったのでしょうか。
それは、石灰化した被膜が非常に厚く、エコーを反射してバッグの状態が上手く映っていなかったからでした。さらに、破れて漏れ出したシリコンジェルが被膜の内部にそのまま留まっていたことで、画像上では破損がないかのように見えていました。 
30年間、幸いにも被膜に包まれてはいたものの、体内では慢性的な炎症が長期間続いていたことがうかがえます。

シリコンバッグが破損していても痛みがなかったのはなぜ?

これほど大きくバッグが破損し、内部でシリコンバッグが変色を伴うほどの強い炎症が起きていたにもかかわらず、ゲストが痛みを全く訴えなかった理由は、体内に形成された被膜の存在にあります。
体が異物から身を守るために作った分厚い膜が、漏れ出したシリコンジェルを内側にしっかりと閉じ込める役割を果たしていました。

つまり、シリコンバッグは破損していてもシリコンジェルが被膜の外側へ広がっていなかったため、強い炎症や激しい痛みにつながらなかったのです。
実際にバストの洗浄時にも、慢性的な炎症で石灰化した白い石のような組織や、バッグから漏れ出たジェルが次々と見つかりました。シリコンバッグ抜去後のさらなる炎症やトラブルを防ぐためには、これらの取り残しがないように、内部をきれいに洗い流す作業が非常に重要となります。

もし被膜が破れてしまっていたらどうなっていたのか?

もし被膜まで破れていた場合、体の中に炎症が広がっていたことでしょう。そうなると、胸がパンパンに大きく腫れたり、強い炎症反応が起きたりする危険があります。場合によっては、かなり大きな総合病院での治療や長期入院が必要になるケースもあります。
そのため、少しでも違和感があると感じた段階で、早めに検査を受けることが非常に重要です。

まとめ

手術後、ゲストは生理食塩水バッグではなかったことを知って驚かれていましたが、バッグが破損していたことにも驚かれていました。痛みが全くなくても体内では異変が起きているケースがあるからこそ、少しの違和感も見逃さないことが大切です。
現代のシリコンバッグは非常に進化しており、品質の優れた良いバッグが数多く増えています。しかし、過去に挿入した古いバッグはもちろんのこと、新しいバッグであっても、挿入の技術や手術の方法によっては硬くなってしまうリスクがあります。
今回のケースを見て不安になる方もいらっしゃるでしょうが、定期的にエコー検査を受けることで大きなトラブルになる前に気づくことができます。また、ご心配な点がある方は、当院のような豊胸に詳しいクリニックへお気軽にご相談いただければと思います。

監修ドクター

志田雅明

志田 雅明masaaki shida

THE CLINIC 統括院長

約10年間、消化器外科医として勤務。胃がん・大腸がん・乳がんなどの手術を1,000例以上手掛ける、がん治療のスペシャリストとして活躍し、2016年には日本外科学会のYoung investigator award を受賞した。
乳腺外来の診療で、乳房を摘出した女性たちの美への情熱を目の当たりにしたことをきっかけに、女性たちの思いに何とか応えたいと、美容外科医へ転身。得意とする脂肪吸引、脂肪注入豊胸、脂肪を用いたエイジング治療を中心に、急速に活躍の幅を広げている。

資格
所属学会